任意売却の最大の障害は売主の同意


債務整理の依頼の件で、依頼者の方のご自宅を任意売却することになりました。

任意売却というのは、典型的な例を上げると、自宅不動産の住宅ローンの支払いが滞り、不動産が差し押さえられる見込みになった時に、裁判所で競売される前に自宅の売却をし、同時に不動産の抵当権を外すことを住宅ローンの債権者に同意してもらう、一連の手続きのことです。住宅ローンで差押えがあった後も任意売却することができます。

金融機関にとっても裁判所を通じた不動産競売よりも高く売れるし、住宅の所有者としても、その不動産は失うものの引っ越し費用などは売却代金から優先して支払ってもらえるようにできるため、いずれにとってもメリットのある手続きということになります。

裁判所の競売で売ると、市場価格の6割になるとも言われ、市場価格で売れる任意売却は非常に合理性のある方法なのですが、いかんせん売られる方の同意が得られにくいという点に問題を抱えています。そりゃあかつて自宅を購入した時、支払っていけると思って住宅ローンを組んでいるわけです。一国一城の主という感覚もあるでしょう。まさに自宅を諦めてもらうということなので、なかなか売却する同意をとるのは難しいのです。

 

時効が成立している借金が意外に多い件。


私が消滅時効について初めて習ったのは、大学2年の民法の講義だったと思います。

飲み屋さんのツケは1年で消滅時効にかかりますよ(民法174条)、というのが印象に残っています。

債権の消滅時効は原則10年であることや、商事債権の場合は5年に短縮されるなど習いましたが、「1年ならともかく、貸したお金を5年も10年も放ったらかしにするわけないじゃん・・・」と当時は思ってたわけです。

しかし実務やってみると消滅時効が完成しているケースは非常に多い。とりわけクレジット・サラ金の借金については、結構消滅時効が成立しているケースがあります。

お金を貸している方が裁判を起こして判決を取れば、時効はリセットされ10年の時効期間をカウントし直すことになりますが、案外裁判はやられていない。大手の貸金業者でもやっていないことは珍しくありません。

先日もそんな案件を受任して、法テラスを使って時効援用の内容証明を送りました。最終支払日から5年(サラ金・クレジットの借金は商事債権なので5年で時効です)経っていればそれでおしまい。5年経つ前に判決取られていれば別ですが。