相続人もいろいろ


私が受任する相続財産承継業務は、様々な理由で依頼されます。

まず、亡くなった方が89歳で、相続される方も60代だったケース。私の専門性に期待したというより、専ら「細かい字が読めない(読む気にならない)」という理由で依頼されたのが実際のところのようです。確かに少し昔の戸籍は手書きですし、自治体職員の方は必ずしも達筆な方ばかりではなく、相当目を凝らさないと読めないものも多くあります。また保険証書なども相当細かい字で書かれていることがあります。老眼の方にとっては相当苦痛になるようです。

また、「日本語が読めない」という方からの依頼も。この方は日本国籍なのですが、生まれてからずっと海外に在住しておられる方でした。突然市役所から手紙が来て、日付と7桁の数字が並ぶ日本語の文書を見て、只ならぬ雰囲気を感じて相談に来られました。これは被相続人が滞納していた固定資産税を相続人に対して督促をする手紙でしたので、依頼者の予感は正しかったということになります。

しかし最も多いのは遠方の相続人の方からです。ここで言う遠方とは、相続人から見て相続財産が遠方にある場合、ということです。被相続人のお子さんたちが地元を離れて就職し、居住地が離れることが多くなったことが理由にあります。被相続人の財産があらかた名古屋にあり、相続人は近畿圏というケースでは、全く土地勘のない相続人の方々に代わって被相続人の葬儀・埋葬の手配や、自宅の後片付けと遺品回収をしました。

相続について困ったということがあれば、いつでもご相談下さい。

お葬式の費用は相続人の負担?


相続人でない親族が喪主となり、亡くなった方の葬式と埋葬をしたが、相続人がその費用を支払わなかったケース。

亡くなった方には子供がいたものの疎遠でした。親が入院したときの手伝いなどしておらず、危篤になったときも、予め葬儀の開催を断るなど関係は冷えきったものでした。一方の亡くなった方の兄弟は、入院の世話を行い、亡くなった方の葬儀を喪主として行うなど、自ら費用を負担して弔いました。

亡くなった方には遺産があり、第一順位の相続人である子供が相続したので、喪主をした兄弟がその子供に葬儀費用や埋葬費用など、およそ三百万円の負担を求めたが、子供は支払いを拒絶しました。亡くなった方の遺産を全て受け取りながら、葬儀費用等の一切の支払いを拒まれたため、兄弟から子供に対してその支払いを求める訴訟を提起した。

事案を単純化するため割愛したところもありますが、名古屋で起こったケースです。結論としては、裁判所は亡くなった方の相続人に、葬儀費用等の支払いを費用支払いを命じませんでした。葬儀費用は喪主が支払うものであり、相続人が支払うものではないという、従来の判例の立場を変えませんでした。

甲斐甲斐しく世話をした兄弟は浮かばれないわけで、結論としては受け入れがたい部分があるかと思います。しかしながらこのケースは、相続に関する準備を怠った結果とも言えるのです。

というのは、この兄弟の方が亡くなった方の遺産から葬儀費用を支払ってもらうことは可能でした。亡くなられる前に葬儀費用について合意があれば、です。亡くなられた方が認知症で、きちんと合意を残すことができないなどの事情があれば別ですが、そうでなければその合意を書面に残していれば遺産から費用を支弁してもらうことは可能でした。おそらく、亡くなられた方の意向にも沿うものであったでしょう。多くの高齢者は自らのお葬式の費用を意図的に残しておられます。

葬式の費用が遺産から出ると疑いなく思っておられたのかもしれません。しかし、残酷かもしれませんが、準備不足が招いたことを悲劇と言っていいのか、とも思います。遺言・相続の分野においては、準備は極めて重要です。亡くなってしまってからではできないことがたくさんあります。

相続は一度切り


司法書士もそうですが、士業というのは、やる必要はあるが滅多にやらない法律事務を、本人に代わって最も有利になるよう行う、という仕事なんだろうと思っています。その法律事務は、弁護士さんは訴訟でしょうし、税理士さんは税務申告でしょう。司法書士は不動産登記や会社設立ということになろうかと思います。
それらに加えて、亡くなった方の相続の手続きも同様だろうと思っています。

専門家以外は滅多にやらないため、ノウハウがなく余分な苦労や出費が嵩み、ついには諦めてしまうこともあると思います。また手続き後にトラブルになりうる種に気付かずに手続きを終えてしまうこともあるでしょう。かくいう私自身も税務申告は開業以来、税理士さんにお任せしています。売上や費用の計上くらいはできますが、それを税務上正確に仕分けるといったことはわかりませんし、正しく計算すれば支払わなくていい税金を支払うことにもなりかねないと思っているためです。後になって「こうすれば良かったのに…」という後悔はしたくありません。

相続財産承継業務はそのような観点から開発しました。私は不動産や会社を扱う仕事柄、相続に関わる様々な悲劇を見てきました。法律家に相談に来る段階というのは、もう手遅れになっていることがほとんどです。それは実際にトラブルが発生してから相談にいらっしゃるためです。
それでも事後の策を検討しますが、「相続の時、これやっとけば良かったのに…」と思わずにはいられません。

相談を受けるたび、なんとかしたいと思っていましたが、相談が来るまで待っているから手遅れになるんだ、と気がつきました。相続に対して積極的に関わり、生じうる問題点を予測し対策を講じる、というのが相続財産承継業務のミッションにしました。

相続を経て、遺された遺族が対立するのを防ぎたいと思っています。相続に関しては、予防に勝る良薬はありません。初回相談は無料です。お気軽にご連絡下さい。

相続を争いにする前に


a0001_011489遺言がなく相続が始まると、遺産相続について話し合いが必要になります。そんな相続の話し合いについて、相続人が配偶者に事前に相談するケースがありますが、これが結構揉める元になるようです。

相続が起こると、相続人同士で話し合う機会が必要になりますが、ほとんどの相続人の方は、まず何を話し合ったらいいかわかりません。というより話し合う順番がわからない、といったほうが正確かもしれません。
この「わからないまま話し合う」というのは曲者です。話し合う当事者が皆、わかっていないからみな等しく不安なわけです。不安なので事前に勉強する人もいれば、話し合いに自分の配偶者を連れてきたりする人も現れます。

相続人の配偶者は、もちろん法的には相続に無関係です。しかし相続人と家計を同じくする重大な利害関係人。当の相続人は不安でいます。そんなとき配偶者に聞くわけです。「どうしたらいいかな?」と。重大な利害関係人である配偶者は、自分の家族が損しないように、相続の話し合いについて聞き、口出しするようになります。そのうち配偶者だけでなく、他の相続人に直接聞いたりするわけです。配偶者が判断するのに必要なことを知らないから他の相続人に聞くわけですが、聞かれた方の相続人はそうは取りません。聞かれた方の相続人も不安に思ってるわけですから「関係ないのが口出してきたな」と警戒するわけです。電話をかけた方は平等に分けるためだったとしても、それはなかなか伝わりません。また逆に、そう思われるのを恐れて相互に連絡を取り合えない状況が生じがちです。疑心暗鬼、という言葉の通りの状況です。

相続人全員が利害関係人である以上、その相続人同士が話し合うことから難しいのが実際です。兄弟同士で揉めるくらいなら自分は相続分を放棄する、ということすら聞きます。

私たちが提供する相続財産承継業務は、相続に関わる法律のこと、相続財産がどれくらいの金額になるかなど、話し合いの基礎となるクリアな情報を提供します。また、相続財産を一旦プールし、話し合いの通りに相続財産を分配した状態で各相続人の皆様にお渡しします。相続でお悩みの方はご連絡下さい。

 

 

相続財産承継業務の受託を正式にスタートしました。


a0782_001129相続財産承継業務とは、相続人の方から依頼を受け、亡くなられた方の財産を調査し、口座の解約や、不動産の売却をして、相続人の方に平等に分配する業務です。

各相続人の方が遠方に住んでいたり、多忙であったり、高齢者であったりして、遺産相続の手続きが止まってしまうことがあります。
戸籍謄本を集めたり、銀行や保険会社などとの交渉も、なれていない方には億劫に感じられられるものです。

そういった方々に代わり、遺産相続の手続きを代理して行う業務を執り行っています。
概ね承継財産の数%を報酬に定め、業務を受任します。

詳しくはお問い合わせ下さい。