高齢者介護事業の経営者が入所者の財産を横領?経営者は別件で逮捕されたものの・・・


愛知県豊明市の高齢者介護事業者の「中日看護センター」の経営者、吉田ルリ子容疑者(70)が、入所者の残高証明書を自分名義に偽造し、名古屋市に提出して逮捕されました。新たに特別養護老人ホームの開設の申請の際に、自己の資産状況を証明するため、入所者の残高証明書を自分名義に偽造したということです。

この事業所では、少なくとも2007年6月からトラブルが絶えず、介護放棄などの虐待が常習化しているとして市に通報が相次いでいました。県と市が調査をしていたそうです。しかし経営者が調査に非協力的で、通報があっても事態を把握することが出来なかったようです。名古屋法務局は2009年3月、この事業所の経営者が従業員に指示し、入所者の手首をベッドに縛り付けていたほか、部屋の外から鍵をかけて閉じ込める虐待があったと認定。06年~08年の間に18人の入所者が死亡したことも明らかになりました。

しかしその後も改善は行われず、2010年9月には、経営者が名古屋市に特別養護老人ホームの開設を申請。さらなる事業拡大を企図していました。その申請の書類の中に、偽造した私文書があったことが今回の逮捕に繋がりました。

この事件の最も恐ろしいのは、経営者が入所者の財産をだまし取ったかどうかは、被害者が認知症のために立件が難しい、ということです。今回の逮捕容疑は私文書偽造です。私文書偽造に過ぎない、と言ったほうが正確かもしれません。入所者の財産を横領したとか、騙し取ったとかという容疑での逮捕ではないのです。このまま捜査が難航し、横領や詐欺容疑で立件ができなければ、認知症の高齢者から財産をネコババするのはやった者勝ちということになってしまいます。

認知症になったらどうやって財産を守るのか、どうやって生きるのか、ということを真剣に考えさせられました。