時効完成後なのに借金が復活?時効は言わなければ認めてもらえません!


京都簡裁をはじめ、各地の簡易裁判所で時効後の貸金請求訴訟が多発しているそうです。

毎日新聞 2012年06月25日 大阪朝刊

「京都簡裁で昨年夏ごろから、京都市の金融業者(現在は大阪市に移転)が全国の個人債務者を相手取り、数千件規模の貸金返還請求訴訟を起こしていたことが分かった。中には消滅時効期間(5年)を過ぎた債権もあるが、大半は債務者が出廷せず業者の勝訴が確定。この業者は複数の消費者金融業者から大量の債権を受け継いだとみられ、多重債務者の支援団体は「債務者の知識の乏しさに乗じた方法で、立ち直りの妨げになりかねない」と警戒を強める。」

借金の消滅時効は、最終支払日から5年で時効完成ですが、この5年が過ぎたとしても、借金が消滅するわけではありません。

消滅時効を援用する、という手続きが必要になります。これは、消滅時効を使って借金を消滅させます、という意思を貸し手に伝えるというふうに考えてもらえばいいです。一般的には内容証明郵便を使って内容や差出日を証明できるようにし、消滅時効の援用が時効完成後に行われたことを確実に証明する方法で行います

そして、貸し手が貸金返還請求訴訟を起こしてきたときに、この内容証明郵便を証拠として提出するわけです。すでに時効を援用しています、と伝えるわけですね。ちなみに裁判を起こされてからでも時効を援用することができます。この場合は内容証明郵便で行うのではなく、訴訟の手続きの中で時効援用することになります。

注意すべきは、「時効が完成したとしても、貸金業者が裁判を起こしてきたときは、時効援用の手続きをしておかなければ裁判で負ける」ということです。

時効の援用を忘れる、あるいは裁判を欠席して判決が出されてしまうと、貸金業者の請求がそのまま認められてしまいます。いわゆる欠席判決です。制度上、訴えられた側は欠席していると負けます。裁判官は、「この人は時効が完成しているようだからダメ!」とは決して言いません。時効を援用する借り手がそれを言わなければならないのです。

ただし、判決が出てしまったとしても、確定するまでは時効援用は可能です。判決は2週間で確定してしまいます。早めに専門家に相談されることをお勧めします。

 

 

東区泉1の中華、彩華の担々麺


愛知中小企業家同友会の地区活動の件。来年度の議案書を作るため、来年度の会長・筆頭副会長と私とで、総点検を行いました。普段の同友会とは違って人数が少ないので、昼食はちょっといい店に行くことにしました。

名古屋市東区泉1、彩華にて。担々麺、上海焼きそば、天津飯から選べるランチが1000円でした。

2013-01-22 12.37.45

 

 

8種の前菜。

担々麺はかなりクリーミー。辛さはやや控えめで胡麻の甘みと香りが強い。いわゆる痺れるタイプの辛さではありません。担々麺にして上品な感じです。

これはしばらく通ってしまいそうな中華でした。

2013-01-22 12.43.59

同じホワイトメイツというビルにはなにわ料理のふじ原などがあります。ここのランチもとても旨い。魚がおすすめです。

お葬式の費用は相続人の負担?


相続人でない親族が喪主となり、亡くなった方の葬式と埋葬をしたが、相続人がその費用を支払わなかったケース。

亡くなった方には子供がいたものの疎遠でした。親が入院したときの手伝いなどしておらず、危篤になったときも、予め葬儀の開催を断るなど関係は冷えきったものでした。一方の亡くなった方の兄弟は、入院の世話を行い、亡くなった方の葬儀を喪主として行うなど、自ら費用を負担して弔いました。

亡くなった方には遺産があり、第一順位の相続人である子供が相続したので、喪主をした兄弟がその子供に葬儀費用や埋葬費用など、およそ三百万円の負担を求めたが、子供は支払いを拒絶しました。亡くなった方の遺産を全て受け取りながら、葬儀費用等の一切の支払いを拒まれたため、兄弟から子供に対してその支払いを求める訴訟を提起した。

事案を単純化するため割愛したところもありますが、名古屋で起こったケースです。結論としては、裁判所は亡くなった方の相続人に、葬儀費用等の支払いを費用支払いを命じませんでした。葬儀費用は喪主が支払うものであり、相続人が支払うものではないという、従来の判例の立場を変えませんでした。

甲斐甲斐しく世話をした兄弟は浮かばれないわけで、結論としては受け入れがたい部分があるかと思います。しかしながらこのケースは、相続に関する準備を怠った結果とも言えるのです。

というのは、この兄弟の方が亡くなった方の遺産から葬儀費用を支払ってもらうことは可能でした。亡くなられる前に葬儀費用について合意があれば、です。亡くなられた方が認知症で、きちんと合意を残すことができないなどの事情があれば別ですが、そうでなければその合意を書面に残していれば遺産から費用を支弁してもらうことは可能でした。おそらく、亡くなられた方の意向にも沿うものであったでしょう。多くの高齢者は自らのお葬式の費用を意図的に残しておられます。

葬式の費用が遺産から出ると疑いなく思っておられたのかもしれません。しかし、残酷かもしれませんが、準備不足が招いたことを悲劇と言っていいのか、とも思います。遺言・相続の分野においては、準備は極めて重要です。亡くなってしまってからではできないことがたくさんあります。

相続は一度切り


司法書士もそうですが、士業というのは、やる必要はあるが滅多にやらない法律事務を、本人に代わって最も有利になるよう行う、という仕事なんだろうと思っています。その法律事務は、弁護士さんは訴訟でしょうし、税理士さんは税務申告でしょう。司法書士は不動産登記や会社設立ということになろうかと思います。
それらに加えて、亡くなった方の相続の手続きも同様だろうと思っています。

専門家以外は滅多にやらないため、ノウハウがなく余分な苦労や出費が嵩み、ついには諦めてしまうこともあると思います。また手続き後にトラブルになりうる種に気付かずに手続きを終えてしまうこともあるでしょう。かくいう私自身も税務申告は開業以来、税理士さんにお任せしています。売上や費用の計上くらいはできますが、それを税務上正確に仕分けるといったことはわかりませんし、正しく計算すれば支払わなくていい税金を支払うことにもなりかねないと思っているためです。後になって「こうすれば良かったのに…」という後悔はしたくありません。

相続財産承継業務はそのような観点から開発しました。私は不動産や会社を扱う仕事柄、相続に関わる様々な悲劇を見てきました。法律家に相談に来る段階というのは、もう手遅れになっていることがほとんどです。それは実際にトラブルが発生してから相談にいらっしゃるためです。
それでも事後の策を検討しますが、「相続の時、これやっとけば良かったのに…」と思わずにはいられません。

相談を受けるたび、なんとかしたいと思っていましたが、相談が来るまで待っているから手遅れになるんだ、と気がつきました。相続に対して積極的に関わり、生じうる問題点を予測し対策を講じる、というのが相続財産承継業務のミッションにしました。

相続を経て、遺された遺族が対立するのを防ぎたいと思っています。相続に関しては、予防に勝る良薬はありません。初回相談は無料です。お気軽にご連絡下さい。

時効援用は当然!という理由


貸金業者が裁判所に訴えでれば確実に勝つことができる借金の請求を、遅延損害金が元金を上回るほどまで放置したのを請求するのはどうなんでしょう。元利金は実際に借りた金額の倍以上になっているわけです。借主に支払う義務があるのはもちろんですが、貸主も横着していたと言えるのではないでしょうか。

時効制度というのはそういうもののためにあるものと思っています。「権利の上に眠るものは保護に値せず」という法格言がありますが、時効が完成するほど眠りこけていた債権者を保護する必要はないということです。

そして放置されて膨らんだ借金を、バルクセールで元金の6~7%ほどの値で買取って、借主に満額の支払いを求める貸金業者はどうなのか。消滅時効が完成した後の借金であれば、回収の見込みが薄く、買う側は買い叩くことができるわけです。こういった業者に対し、消滅時効を援用するのに躊躇することは何もないように思うのです。

借金の支払いが滞ると、最初は貸し主から返済の督促が来ますが、そのうち借金の支払い先が別会社になることがあります。支払い先が変わるのは様々な事情がありますが、滞納の末のことであれば、不良債権の処理として、サービサー等に借金を売られたためかもしれません。この際の売値は当然、借り主への請求額より安いものになっています。場合によっては数%ということも。

買い叩いた借金で、元利金を含めた全額を顧客に請求するわけです。もし時効が完成しているとすれば、それを利用することになんの遠慮が必要なんでしょう?

と、私は思っています。

 

貸した方は案外、返ってこないとわかっている。 ~貸倒引当金について~


a1180_001396「借りたものは返さねばならない」というのは正しいと思いますが・・・貸した方は意外と事実を直視しています。貸した方にとっては、お金が返ってこないことは想定の範囲内です。

貸した方(貸金業者やクレジットカードを扱う信販会社)は貸倒引当金(かしだおれひきあてきん)を積んでいます。このお金は借主からお金が返ってこなかった場合に、このお金を代わりに返済に充てるというものです。貸したお金のうち、どれだけ返ってこなかったかを計算し、その金額を予め積み立てておくわけです。あのたっっっかい利息はこの貸倒引当金にも一部使われています。これはどこの貸金業者も積んでおり、裏返して言えば、どこの貸金業者も貸したお金が返ってこないことを事実として受け入れているわけです。

しかも、貸金業者やクレジットを扱う信販会社は税制上、このお金を損金算入できる(積んだお金は税金がかからない!)そうです。平成23年にこの貸倒引当金制度は、損金算入できる範囲を縮減する形で改正されましたが、貸金業者や信販会社に関するものは維持されたようです。

とはいえ、支払いを滞納すると、貸した業者から電話がかかってきて返せ返せと言うわけですが、電話をかけているのは督促の担当者だからということに過ぎません。そのうちそれも止むわけですが。

とにかく、「貸したものは返さなければならない」というのは大変正しい考えだと思いますが、貸した方、特に貸金業者は案外そうも思っていない、という話です。この考えに取り憑かれて適切な対処ができなかったり、体調を崩す方が本当に後を絶ちません。

私としては、もーちょっと気楽に考えてはどうかと思っています。

 

約束の日 安倍晋三試論


現職の総理大臣について、勉強したいと思ったのは初めての経験でした。
戦後レジームからの脱却という大目標を掲げていたことに、恥ずかしながらこの本を読むまで知りませんでした。

第一次安倍内閣の誕生から辞任まで、マスコミが伝えなかった政権の有り様を見ることができます。
それを妨害するマスコミの姿も。
安部総理自身に攻めるところがないとみると、閣僚をのあら探しをし、選任責任を問うのは常套手段となりました。

何度も報道されたので今でも覚えていますが、不明朗な事務所経費を野党に指摘されて、「ナントカ還元水」の費用だと答弁する松岡農水大臣はその後、議員会館で首を吊った状態で発見されました。苛烈な報道を苦にして自殺したものと見られています。

一読の価値は充分ありました。
今後の安倍内閣をまた違った角度から見ることができそうです。とりわけ朝日新聞の報道には気をつけないとなあ。

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ティーアンドエスが自宅に訪問して取り立て


ここ最近増えている相談です。

突然ティーアンドエスという会社から、かつて滞納した借金に多額の延滞金を加え「最後通告」などと書いた督促状を送りつけられ一括返済を求められた、あるいは名を名乗らず「ティーアンドエスの人間ではない」と言う男が自宅にやってきてティーアンドエスへの一部返済を求めたり、返済計画をいついつまでに電話せよ、と言われた、という相談を立て続けに受けました。

相談者はかつてアエル、タイヘイ、GMOネットカードなどから借入れて滞納し、それから5年~10年程度経ってから、ティーアンドエスから取り立てを受けています。上記の会社とティーアンドエスの間には、クリバース、プロマイズという会社があり、最終的にテイーアンドエスが債権譲渡を受けています。ティーアンドエスは時効を迎えたような不良債権をサラ金から買い集めているようで、私が受任した件の半分以上は消滅時効が完成していました。
5年の消滅時効の期間を満了していれば、内容証明郵便で時効の援用をするだけで解決してしまいます。最後の支払日から数えて5年です。
期間満了前に裁判を起こされ、判決をとられていればまた起算日と期間は変わってしまいますが・・・
そういった事情がなければ元金を含めて借金を支払わなくても良くなります。

但し、時効の援用をする前に、借金の一部でも返済していると、時効期間はリセットされ、時効の援用はできなくなります。
ティーアンドエスはこれを狙っています。「1万円だけでもいいから」と執拗に一部弁済を求め、時効援用を妨害します。実際に支払ってしまった方もいました。私に連絡を頂いた前日に支払ってしまった方がおり、依頼者の方ともども大変悔しい思いをしました。

借りたものは返さなければ、というのはその通りだと思いますが、お金を貸したほうも5年も放ったらかしにしていたのも事実です。
5年を経過する前であれば、貸したほうが裁判を起こしていれば確実に勝つことができたでしょう。
それにも関わらず放ったらかしにしていたのは、貸していた方も回収が難しいと考えて諦めていたということです。
判決を取ったとしても、借主に強制執行できるような財産がなく、勤務先もわからないような場合には、どうにもなりません。
会計上、「回収不能」として処理していることもあるようです。

ティーアンドエスはそういった債権を書い集めて支払いの催促をして、だまし討ちのような形で時効援用を阻止しようとしているわけです。
時効を使って借金を帳消しにするのに、あまり遠慮をする必要がないように思います。

ティーアンドエスの「集金予告通知」


ティーアンドエスの件の続きです。

先日の記事では、最終支払日から5年以上経っていることが結構あるので、時効の援用を内容証明郵便ですれば終わってしまう、ということを書きました。しかし、もしも一部でも返済してしまえばこの時効の援用は使えなくなってしまうので注意が必要です。
先日の相談者は一部だけ支払ってしまいました。それは、下記の「集金予告通知」が本当に怖かったということでした。

相談者に「集金予告通知」なるものを送り、突然訪問して取り立てる、イヤなら下記口座に遅延損害金も含めて全額一括で振り込め、という内容を通知しています。
しかもティーアンドエスからの借入ではなく、別会社に対する借入の取り立てを行なっています。
下記はその通知の内容です。

貴殿は当方より再三再四に渡り送付しております通知に対し、何等誠意を示して頂けませんでした。従いまして、このまま同様の対応では任意に御支払頂けると考えられる余地が無いと判断するに至りました。そこで我々は貴殿に対する債権を訪問・集金による回収手続きに進めさせて頂くことになりました。現時点に於いては、集金対象者リストの作成、並びに費用・日数等の算定は終了し、地域によっては、既に集金対応を開始している所もあります。我々としては、穏便に解決を図ろうしておりましたが、貴殿にその意思は無い様でしたので、貴殿のご希望に沿い、突然の訪問により、交渉・回収を図ることと致しました。貴殿に誠意ある対応が無い以上、我々としては、このまま放置する訳にはいきません。事の解決に至る過程に於いて、訪問・集金に支障がある方は下記金額を下記期日までに一括にて御振込願います。 以上

おどろおどろしい文章で、読むだけでなにやら不安を煽られます。
ちなみに相談者はティーアンドエスから支払いの催促を受けるのはこの通知が初めてで、しかもかつての借金がティーアンドエスに譲渡されていることも初耳ということでした。

そうだとすれば、民法第467条1項により、ティーアンドエスは相談者に借金の譲渡されたから支払え、とは言えないことになります。元の借入先から相談者に、ティーアンドエスに譲渡したことを通知しないと、相談者に請求できません。
砕いて言うと、「ウチからティーアンドエスにあなたの借金を譲渡したよ。これからはティーアンドエスに払ってね。もうウチに払ってもダメだよ。」ということです。

まずはこの通知をしていたかどうかを確認していきたいと思います。

低収入でも生活保護でも成年後見制度を利用できる!名古屋市成年後見制度利用支援事業の改正について。


平成22年10月1日、名古屋市は、成年後見制度の利用支援事業の助成範囲を大幅に拡大しました。生活保護受給世帯や、一定の要件を満たす低収入の世帯の方など、この支援事業を利用することができるようになりました。

今までは、名古屋市長の申し立てのみに用いられていた支援事業の対象を、被後見人本人やその親族が申し立てを行った場合にも助成を利用できるようにしました。大きく分けると下記の2つの助成に分けることができます。

  • 申立費用の助成
  • 後見人等(成年後見人、保佐人、補助人)報酬の助成

申立費用の助成

助成の対象になる申立費用は下記の通りです。

  1. 申立手数料
  2. 登記手数料
  3. 郵便切手代
  4. 鑑定料
  5. 申立書の添付書類の取得費用

1.~4.は実際に家庭裁判所に支払った費用に限られます。助成の申立は後見等の開始審判の確定後ですので、一旦は申立人が費用の立て替えをすることになります。申立書の作成を司法書士に依頼した場合の報酬は助成の対象になりません。

後見人等(成年後見人、保佐人、補助人)報酬の助成

後見人等の報酬、後見監督人等(成年後見監督人、保佐監督人、補助監督人)の報酬を助成してくれます。助成の上限は後見人等、後見監督人等の報酬の合計して月額28,000円までです。但し、後見人等、後見監督人等が親族である場合はこの助成は使えません。

まだまだ様々な制約のある支援事業ですが、非常に良い改正だったと思います。利用すべき事案があればしっかり利用し、支援事業の必要性をより強く名古屋市に感じてもらいたいなあと思っています。